2016年もすでに2ヶ月が過ぎ3月に入りました。桜の開花が待ち遠しい季節ですね。
午前零時をまわり、卓球の福原愛ちゃんが熱戦を繰り広げています。
池本形成外科・美容外科は昨年、2015年3月3日に開院しましたので、本日誕生日を迎え1歳になりました。
この1年間、美容医療や保険診療における手術・治療後の不具合・不満足に対する修正治療に力を入れて診療を行ってきました。
特に目元や二重まぶたの他院修正治療に関しては全国から多くの患者様にご来院いただいた1年でした。
最近では二重まぶたや目元以外にも、隆鼻術、鼻インプラント、小鼻縮小術の傷跡、各種リフトアップ手術後の不具合、、乳房・乳輪・乳頭に関する治療の不具合、ワキガ手術後の皮膚壊死・遷延治癒・再発、美容皮膚科による各種注入術後の不具合などなど、様々な修正治療についてのご相談をいただいております。
形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)、創傷外科専門医、頭蓋顎顔面外科専門医など、今まで培ってきた専門的な知識とスキルが大変役に立っております。
麻酔科標榜医としても研鑽を積んでおりますので痛みの少ない局所麻酔、術後の腫れに配慮した最小限かつ十分な効果の局所麻酔を行う事で手術中の不安や痛み、手術後のダウンタイムに十分配慮した手術を行っております。
2年目の池本形成外科・美容外科では診療の範囲を拡大してより多くの患者様をお迎えする予定です。
まだホームページで告知の準備ができていないのですが、3月からは全身麻酔を行う事が可能になり、すでに手術の予定が入っております。
また、私自身が硬膜外麻酔などを行う事が出来ますので、各種脂肪吸引、乳房増大(インプラント、自己脂肪注入)、乳房縮小(実は教科書も執筆しているぐらい得意としています)なども痛み無く、安全に行う事が可能になりました。
これらの分野についても初回手術はもちろんの事、今までの十分な経験を活かして他院手術後の修正治療につきましては特に力を入れて診療を行っていきたいと思っております。
さらに今年中に最も得意とする治療の一つである顔面骨格形成、輪郭形成の手術を行える様にクリニックを整備して行きたいとも思っております。
そもそも大学病院勤務時代の私は口唇口蓋裂、小耳症などをはじめとする小児先天異常、頭蓋骨や顔面骨の発育障害を認める各種疾患、噛み合わせの不具合や顔の骨に関する形態を改善する治療、そして顔面〜全身の骨から皮膚に至るまでの美容外科を専門に行って参りました。
さて前置きが長くなりましたが、今回は私が二重まぶた・目元の他院修正手術に取り組むことになった経緯をご紹介致します。
私が医学部を卒業して医師になったのは1994年5月の事です。
当時「形成外科」というものは世に認知されておらず、ましてや「美容外科」を学問として学べる施設は皆無でした。
北里大学形成外科(現 形成外科・美容外科)では当時から大学病院として積極的に美容医療・美容外科に取り組んでおり、様々な美容手術後のトラブルの患者様の治療を行っていました。
当時はおそらく皆様もご存知のとても有名なO先生がいらしたので、大学病院で学ぶ美容外科というものはほとんどが修正治療でした。
北里大学形成外科・美容外科に入ると入局1年目から、美容治療後の患者様の悩みを身近で感じ、修正治療について形成外科の基礎知識をもとにして学ぶ事が出来ました。
そんな中、二重まぶた・目元まぶたの修正治療に興味を持ったのは今からおよそ5年ほど前でしょうか。
ある患者様との出会いがきっかけになります。
医師になって7年目から現在までお世話になっている美容外科のクリニックでの友人院長から
「とある美容外科で手術を受けたがとてもかわいそうな患者さんが居る」
「先生の力で何とかなりませんか?」
との相談を受けたのが始まりです。
他院での症例ですが、患者様の承諾を得てお写真をお借りする事が出来ましたので供覧致します。
「二重の修正治療でお世話になったので先生のためなら」とお写真を提供していただいた患者様に感謝致します。
本当にありがとうございました。
とある大手美容外科で切開二重の手術を受けたそうです。
手術時間は4時間以上かかり、手術後はそれはそれはハンパ無く腫れたそうです。
広すぎる二重まぶたのため二重下の皮膚がぷっくりどころか、ダブつきすぎてまぶたの開きも悪い状態です。
二重下の皮膚がダブついているために、切開二重の前に受けていた埋没法による糸の跡がくっきりと出てしまっています。
目を開けるにもまぶたが非常に重たい状態で形の不具合はもとより、日常生活も辛い状態とんことでした。
それまでにも様々な手術後のトラブルや失敗とも言えるような変形の治療を経験してはいましたが、ここまでかわいそうな状態の目元を治療するのは初めての経験でした。
どこまで改善するかについてはもちろん明確では有りませんでしたが、改善する自信が有りました。
- まぶたの解剖学的知識
- 何が原因でこのような状態になっているのか?
- 改善のための手術計画
- 形成外科・美容外科としてのスキル
などをフル動員して修正手術を行いました。
修正手術後3ヶ月の状態です。
二重幅は縮小され、目はとても良く開いています。
とても可愛くなりましたね。
目の開けづらさも改善して、明るい笑顔で笑えるようになりました。
まつ毛に覆い被さる皮膚も無くなり、とても良く目が開いているのが解ります。
患者様にも大変喜んでいただきました。
ただ…
私としましてはこの手術結果にあまり納得していませんでした。
それは右目、目頭側の二重が不自然でならなかったからです。
これは幅の広すぎる二重の患者様においてしばしば見られるのですが、目頭側の癒着が著しく、一旦は癒着を剥離して改善したのですが、いわゆる再癒着による元の二重の引き込みを認めてしまったのです。
そもそも顔面の骨格から筋肉、皮膚に至るまでのありとあらゆる変形の治療に比べて、健常なまぶたの治療は容易いものだと思っていましたし、自分の思い通りにならない事が有るなんて事は思っても見なかったのです。
(今思えば恥ずかしい事ですが…)
自分が思い描いた結果にならなかった修正手術を経験して、二重まぶたや目元の他院修正術奥深さや、興味深さを知った訳です。
そしてこの不本意な結果が完璧主義の私に、修正治療への火をつける事になりました。
二重まぶた修正治療において最も肝になるのがこの再癒着の予防であり、この時以来修正治療における再癒着との戦いがはじまったのです。
そんな訳で、今はどっぷり他院修正治療にはまり込んでいます。
他院修正治療は手術手技が難しいばかりでなく、患者様自体も非常に慎重でナーバスになっておられる方が多く、心のケアに十分な配慮が必要です。
怖く、怯えて、固まった患者様の心を溶きほぐすことも修正治療を行う医師の役割であると日々思います。
そして、明るい笑顔を取り戻して頂けたときに、患者様と分かち合う喜びと達成感を感じることが出来るのも修正治療であると思います。
より良い結果を求めて、私自身は手術法を日々進化させています。
「今日の手術方法」よりも「明日の手術方法」を一歩進化させる。
これが小児先天異常、頭蓋顎顔面外科の恩師に教えていただいた医師としての私の姿勢です。