みなさん、おはようございます。
当院で二重修正手術を希望されるご相談の中で最も多いのが「広すぎる二重幅を狭くする手術」です。
そのため、当院で治療を受けていただけた患者様にご協力いただいて二重幅を狭くする二重幅狭手術について、当院での方法や術後経過について説明して参りました。
修正術1回のみで経過の良い患者様がほとんどで、私自身もそれは喜ばしい事なのですが、修正術後に更なる改善を希望される患者様もいらっしゃいます。
修正手術は全体として非常に難度の高い手術である事は間違い有りません。
過去の二重切開位置、瘢痕(傷跡)の癒着、皮膚・筋肉・脂肪などの組織量、解剖学的位置の変化などに影響され、そもそも術後の結果が限定的な場合も有ります。
そのため手術後に気になる箇所が残存してしまう場合も有るのは事実です。
そしてそれは一時的であったり、術後の結果として定着してしまったりします。
中でも以前の瘢痕による二重引き込みの再癒着は手術結果を大きく左右する重大な問題で、修正治療を行う際には再癒着の予防について十分に気を配り、修正手術に際して様々な工夫・処置を施しておかねばなりません。
今回は少し視点を変えて、過去の瘢痕による再癒着とその予防と術後経過についてお写真を供覧するとともにご説明させていただきます。
私の二重修正治療における術後再癒着との戦いにつきましては過去のブログで紹介していますので、合わせて参考にしていただければと思います。
当院で二重幅狭手術を受けていただけた患者様にお写真をご提供いただきましたので、術前から術後3ヶ月までの経過をお見せするとともに解説したいと思います。
いつもながら、お写真を提供していただいた患者様には只只感謝するばかりです。
ありがとうございました。
まず、手術前の状態です。
いつもながら広過ぎる二重幅、二重下のぷっくりした皮膚、半開きの目(開瞼不良)など、特徴的な所見を認めます。
まぶたの特徴を見るだけで過去の手術の背景がある程度推測できます。
二重切開のラインはとても幅が広く設定されています。
特に左の内側・目頭側の二重位置が高く、癒着も著しい状態でした。
しかし、過去のブログ(幅広二重の作り方「失敗しないためには?」)でも紹介しましたが
「なぜこのような不自然な二重になってしまうのか?」
その原因は、二重ラインの設定を幅広くする事自体が問題の本質ではなく、二重の作り方(手術方法)に問題が有るのだと私は考えています。
その解剖学的に間違った状態を正しい状態に直す事を中心に手術を行っています。
手術直後の状態です。
右二重形態は良好ですが、左の内側の形態が今ひとつ良くありません。
もともと左内斜視があるので左目がさらに小さく見えてしまいます。
左内側の著しい癒着の影響で元の二重ラインが引き込まれて二重幅が広くなってしまっています。
それに伴い、左内側の目の開き具合も部分的に低下しています。
手術では癒着の十分な剥離と眼輪筋による再癒着予防の処置を行っています。
これからは新しく形成した二重と過去の癒着による後戻りとの戦いになります。
術後6日目で抜糸を行いました。
左内側・目頭側の二重幅は広い状態が残存しています。
元の瘢痕による二重引き込みが勝っている状態です。
術後1ヶ月は傷跡が最も硬くなる時期です。
抜糸時の写真と比べて、左内側・目頭側の二重下部分の腫れは減少していますが、ラインが2本になっています。
新しく作った二重ラインが傷跡の治りに応じてまだ硬いため引き込みが弱く、うっすら二重ラインが出るものの以前の二重ラインと喧嘩している状態です。
術後1ヶ月では傷跡の赤みがまだ目立ちます。
下方視・伏し目にしたときの目立った二重ラインの食い込みなどは認めません。
患者様は皮膚の色が黒めで、厚いタイプですので傷跡はある程度目立つ事が予想されます。
左内側・目頭側の二重幅は狭くなり、新たに作った二重ラインが形成されています。
新しく作成した二重の傷跡が柔らかくなり、しっかりと織り込まれる様になったためです。
新しく形成した二重が過去の癒着による後戻りとの戦いに勝つとこの様に良い結果になります。
また全体として、左右ともに術前より二重幅は狭くなり、大きな左右差は認めません。
二重のラインもまぶたの縁に沿った綺麗なアーチを描いています。
目もしっかり開いていて開瞼不良が改善しています。
患者様にとても喜んでいただいております。
目元のみメイクを落としていますが、少し残っていると思いますのでその分差し引いてご覧下さい。
メイク落としで擦ったばかりという影響もありますが、術後3ヶ月にしては傷跡の赤みはやや目立ちますね。
下方視・伏し目にしたときの写真です。
不自然な二重ラインの強い食い込みは認めません。
二重修正手術後3ヶ月でこの状態であれば手術後半年、1年と経過するごとに二重ラインのくい込み、傷跡ともにほぼ解らなくなると予想されます。
私は二重の手術を行う際に、「生まれつきの二重」に近い「食い込まない二重」になるように、十分配慮して手術を行っています。
今回の患者様は初回手術後の瘢痕による再癒着傾向が術後一時的に出現しましたが、経過とともに自然に改善しました。
これは再癒着の予防として十分な癒着剥離操作や筋肉による再癒着防止対策をしておいたためであり、再癒着予防が二重幅狭修正における重要な位置づけである事はお解りいただけましたでしょうか?
仮に術後再癒着が定着してしまった場合ですが、形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)の多くの経験と知識から次の手、そしてその次の手を持っていますのでご安心いただければと思います。
治療を打ち切る事無く、お目元の状態に応じて改善方法について共に考えさせていただきます。
さて、池本形成外科・美容外科は開院以来1年3ヶ月が経過しました。
大変ありがたい事に、日本全国から(時には海外からも)多くの患者様にご来院いただいております。
当院は東京都とはいっても郊外の立川市にあり、クリニックにお越し頂く際にアクセスが非常に良い訳ではなく、大変ご不便をおかけしております。
(とは言っても新宿から30分足らずなので、それほど悪くないとも思っています。)
今回の患者様も遠方よりお越しいただきまして、術後検診にはおつきあいされている彼氏と一緒にご来院されました。
彼氏とは修正手術の前からお付き合いという事で、彼も「前より可愛くなった!」ととても喜んでおられるそうです。
いつも明るい患者様で、診察のたびに私の方が元気を頂いております。
初回手術後の不安な時期、修正手術前やカウンセリング周りの大変な時期、修正手術後の大変な時期も患者様の治療の陰には「彼の支え」が有ったことがとても良い結果をもたらしたのだと感じています。
現在の彼氏をいつまでも大切にして下さい。
そしてお幸せに。