みなさんお久しぶりです。
池本形成外科・美容外科院長の池本繁弘です。
訳あって長い間ブログの更新を中断していました。
理由は幾つかありますが大きな理由の一つは、モニターさんとしてご協力いただいた患者さんの写真を公開することに抵抗があったからです。
モニター患者さんの多くは手術費用の負担を軽減するためにモニターを志願された方々です。
中でも修正治療・修正手術の場合は、前回の整形手術が患者さんにとって満足な結果が得られなかったわけですから、修正前の状態をあまり見たくないでしょうし、思い出したくもないはずです。
そういうお写真を公開してしまうことに、私には罪悪感が今でもあります。
ところが最近、ある患者さんから「自分の写真をブログにアップして欲しい」という要請がありました。
他にも、当院のモニター制度で手術費用のご負担が軽減されることをご存じなかった患者さんから「私、あのブログの写真やります!」と言っていただける方もいらっしゃいました。
不幸にも整形に失敗してしまったご自身と「同じような思いをする人を減らしたい」という思いからかもしれません。
また、日々のカウンセリングにおいても「先生のブログを何度も見返して修正治療の励みにしていました」「ブログをとても楽しみにしています」という多くのご意見を頂戴していました。
今日、インターネット上には莫大な量の情報で溢れかえっています。
美容医療に関する情報は発信元が不明で内容についても不正確なものが目立ちます。
整形手術や美容治療を検討している患者さんに提供されている情報は、一方的でかつ偏った内容も多く、根拠のない間違った情報が提供されている場合も少なくありません。
逆に患者さんは美容医療に関する情報に飢えている弱者であり、与えられた情報の正確性を判断する術がなく、誤った情報を鵜呑みにしてしまう傾向にあります。
今回症例としてご紹介する患者様も偏った情報による被害者の一人だと思います。
クリニックの開院にあたり、そもそもこのブログを始めたきっかけは「美容医療に関する情報弱者の救済」でありました。
「整形手術や美容治療を考えている方々に偏らない情報を提供する」
「形成外科専門医、美容外科専門医として学んできた正確な情報を発信する」
やはり、美容外科のクリニックを開設している以上、美容医療における社会貢献の一環として、情報発信を継続する義務があると思いました。
前置きが長くなりましたが、そういう理由から(まだ心に葛藤はありますが‥)ブログを再開するに至りました。
さて、今回ご紹介する患者様は22歳の女性で、前述の「自分の写真をブログにアップして欲しい」と言われた方です。
とある美容外科で眼瞼下垂、二重形成、目頭切開、たれ目形成、目尻切開を同時に受けられたそうです。
術後の経過に不安を感じて、手術を受けたクリニックに何度も相談したそうです。
ところがその都度「失敗ではないので経過をみるように」「3か月待てば治ります」と説明されたそうですが、とても不安なため当院を受診されました。
お写真は当院を受診された時の状態で、術後11日目でした。
二重幅の左右差、目の開き具合(開瞼量)の左右差を認めます。
左下まぶたは引きつれてまつ毛が眼球に当たっていました。
たれ目形成の左右差も著しいです。
目頭切開の傷がとても目立ちます。
なぜこのような結果になったのかは想像することもできないほど悲惨な状態ですが、大変つらいことですが患者様にとってはこれが事実です。
こういう患者様を見ると医師やクリニック選びはやはり慎重になりますよね。
カウンセリングの間もそうでしたが、悲しみのあまりずっと泣いておられて、診察終了後も立ち上がることができず6時間ほどクリニックで休んで帰られました。
当院では症状や傷跡の状態に応じて術後2週間以内であれば早期修正手術を行う場合があります。
ところがこの患者様の場合術後11日目にして傷跡が非常に硬い状態でしたので術後3か月頃を目安に手術を検討することにいたしました。
他院での術後1ヶ月目の経過です。
手術直後の腫れが著しかったために1ヶ月経っても強い腫れが残存しています。
二重幅、目の開き、下まぶたの左右差もひどい状態です。
左下まぶたのひきつれによる逆さまつ毛の症状で眼科への通院が必要になっていました。
他院術後3ヶ月目で修正手術を行いました。
さすがに3ヶ月の月日が経つと二重幅の左右差、目の開きの左右差、左下まぶたのひきつれなどは軽快はしています。
これは予想した手術結果というよりは、患者様自身の治癒力で改善したということではないかと思います。
患者様にとってこの3ヶ月はとても苦しかったことでしょう。
今回行った修正手術は
二重幅左右差の修正(幅は広目を維持)
二重の形の修正
まつ毛に乗っかるぷっくり皮膚の改善
目の開き(開瞼量)左右差の修正。
左下まぶた逆さまつ毛の改善
両側たれ目形成の修正
目尻切開修正
などです。
ご本人の希望で涙袋のヒアルロン酸を残したままの手術でしたが、とってもやりにくかったです☺️。
術後7日目に抜糸を行いました。
まだ腫れも残存していますし、若干の左右差は残っていますが術後7日目の経過としては良好です。
医原性(医療行為が原因という意味です)の逆さまつ毛も改善しています。
何と彼女、抜糸後にクリニックのパウダールームでメイクをしてお仕事に出かけました。
無事、修正手術後7日目に職場復帰を果たしました。
患者さんからは笑顔も見られるようになり、私自身もホッとしています。
だた、まだまだ前回の傷跡も目立つ状態ですので、今後の課題としては目頭切開の傷跡修正などを検討しています。
引き続き彼女の心を支えていくのはもちろんのこと、よりキレイになるようにサポートしていきます!