みなさんこんばんは。
夏休みシーズンが終わって秋に入り、少し時間ができるかと思いきや、連日多くの患者様よりお問い合わせをいただいている状態です。
それに伴い、カウンセリング、再カウンセリング、そして手術まで、診療時間外に予約枠を広げて行っておりますが、日々予約待機時間、手術待機時間が長くなっていく傾向にあります。
現在、手術が1ヶ月〜1ヶ月半待ち、カウンセリングはおおむね3週間〜1ヶ月待ちの状態で、ご不便おかけしております。
年末の手術予約も入り始めていますので、年末・年始にかけて美容手術をお考えの皆様は早めの受診・カウンセリング・手術予約をお勧めいたします。
さて、今回は「切開二重ラインを消す方法」についてご紹介したいと思います。
二重修正手術を行う場合
- 過去の二重形成術式
- 現在の状態
- 希望の二重幅・二重形態
などを正確に評価することがとても重要になります。
過去のブログでは主に皮膚切除・挙筋腱膜整復・再癒着予防などを駆使した切開二重後の幅狭修正手術についてご紹介いたしました。
過去にご紹介した修正手術症例では、幅が広すぎる二重、ぷっくりした二重下(まつ毛の上)の皮膚、二重ライン(傷跡)のキツイ食い込み、目の開き(開瞼)の悪さなどが特徴的な所見でした。
これらはすなわち、過去の二重形成術式、つまり二重の作り方に問題が有るために生じる不具合です。
また、現在のまぶたの状態の評価として十分な皮膚切除を行う余裕がある場合がほとんどでした。
そして、ご希望の二重幅がそれほど狭い二重を希望しない患者様に対して、
切開部分の傷跡が1本になる方法として、皮膚切除、目を開ける筋肉の膜(上眼瞼挙筋腱膜)の操作、再癒着予防として眼輪筋を使用する方法を適応した症例を供覧してまいりました。
今回は切開二重後に希望の二重幅よりも広すぎたため、限りなく一重に近い奥二重への修正を希望された患者様からご協力が得られましたので、症例を供覧すると共に解説したいと思います。
ご協力いただいた患者様にはひたすら感謝するばかりです。ありがとうございました。
今回ご紹介する切開二重後の二重修正方法は、脂肪移植によって過去の二重ラインを消して、新しい二重ラインを作成する方法になります。
この脂肪移植による方法は多数ある二重修正手術の方法の一つで、当院ではよく行っている方法の一つになります。
ご協力いただいたのは28歳の男性で、とある美容外科で全切開二重による二重形成を受けたところ、ご希望よりも広くなりすぎてしまったとのことした。
はっきりとした幅のある二重で、確かに男性にしてはやや広すぎる印象はあります。
男性では自然な奥二重を希望される患者様も多くいらっしゃいます。
また、二重にはしてみたものの、ご自身には二重が似合わないということに気付き、一重に戻したいというご相談も男性では比較的多いご相談になります。
全切開二重を受けてから2ヶ月の状態ですので傷跡はまだ赤く、硬さが残り、凹凸が目立ちます。
患者様の精神的な苦痛が多きいことや、再就職を控えているという社会的背景などから、前回手術後2ヶ月ではありますが修正手術を行いました。
新たなご希望の二重が一重に近い奥二重であったことから、脂肪移植による方法を選択しました。
二重幅狭修正手術の他の方法として二重下部分の皮膚切除による方法では十分な皮膚切除を行ってもある程度の二重幅が出てしまうことが多いのが現状です。
点線が消したい過去の二重ラインで、実線が新たに作りたい二重ラインです。
過去の二重ラインを脂肪組織を移植することで二重として引き込まれないように細工して、新たな二重を作成することでより一層の二重幅縮小を期待することができます。
皮膚切除を行わないことで皮膚に余裕ができて、二重の上からかぶさる皮膚を多くすることができるのが本法の特徴です。
新しい二重ラインで切開後、過去の二重ラインの癒着を剥離します。
十分な剥離を行うことが重要です。
過去の二重ラインを引き込ませないようにするために脂肪組織を皮下に移植します。
今回は太ももの内側に傷跡がありましたので同部より脂肪を採取しました。
移植脂肪は適したサイズにトリミングして、分かりやすいようにまぶたの皮膚上にのせてあります。
脂肪組織を挿入して、新たな二重ラインで二重を形成します。
皮膚縫合後の状態です。
過去の二重ラインの引き込みが浅くなり、新しいラインで二重が引き込まれているのがわかります。
二重幅が明らかに狭くなっています。
手術翌日の状態です。
腫れのため設定よりも一時的に幅が広くなります。
脂肪移植による二重修正手術では、移植した脂肪組織にも術後の腫れを認めるため、移植を行わない方法に比べて腫れが強く出るのが一般的です。
術後7日目に抜糸を行った時の状態です。
移植した脂肪組織が一時的に硬くなり、過去の二重ラインの癖が出つつあります。
術後1ヶ月ぐらいにかけて、過去の二重ラインと新しい二重ラインの引っ張り合いで、どちらが勝つかによって結果が異なります。
抜糸後の状態です。
カウンセリングにお見えになる患者様から「脂肪移植は凸凹になったりしませんか?」とよく質問を受けます。
ちゃんとやればそのような可能性はとても低いと思います。
術後1ヶ月目の状態です。
移植脂肪や、傷跡が最も硬くなる時期ですので、過去の二重ラインがうっすらと残存しているのがわかります。
術後1ヶ月では移植した脂肪の盛り上がりがまだ目立っています。
術後2ヶ月目の状態です。
過去の二重ラインの引き込みは弱まり、新たに作成した二重ラインの引き込みの方が強く出ています。
手術前の広い二重幅は改善されて、一重に近い奥二重になりました。
まだ、過去の瘢痕の硬さは残存しています。
術後1ヶ月目に比べて、移植脂肪の盛り上がりが少なくなっています。
術後2ヶ月でこの程度であれば、今後半年ほどかけて、盛り上がりはほとんど分からなくなることが予想されます。
新たな二重ラインの引き込みがしっかりと出るように、少し食い込みをきつく二重を作るのもポイントの一つです。
今回は術後2ヶ月目までの紹介になります。
後日、術後の長期経過についてはご報告させていただきます。
脂肪移植による方法では、過去の二重ラインを消すことができるので、極端なことを言えば、過去の全切開二重の前の状態に戻すことが可能です。
この方法を行うことで、一重の状態に戻すことや、新たな二重の設定も自由自在で患者様のご希望により一層近づけることが可能になります。
また、過去の手術の際の皮膚切除により、皮膚が足りない・皮膚に余裕がない患者様にとりましてはとても良い方補の一つであると思います。
傷跡が2本になるのがこの方法の欠点ですが、傷跡を1本のまま行うことも実は可能で、ご希望に応じて提案をしています。
このように、私が日頃より心がけていることは、通り一辺倒の修正方法ばかりを押し付けるのではなく、数ある修正方法の中から、患者様個人個人に適した修正方法を提案することです。
形成外科ではそのように臨機応変な手術方法の組み立てができる知識・技術を習得する診療科であり、そして形成外科という基礎に基づいた美容外科であるからこそより高いレベルの美容医療が提供できるのだと強く思います。
このたびお写真をご提供いただいた患者様は、術後1週目で再就職の面接を控えているなど、タイトなスケジュールの中での手術でした。
術後のダウンタイムをなるべく短くできるように、そして早期に社会復帰ができるような腫れの少ない手術を心がけています。
患者様は再就職も決まり、新たな人生を踏み出すお手伝いができたことをとても嬉しく思っています。