私は日本美容外科学会専門医ですがJSAPSという団体の専門医です。
ご存知の方も多いと思いますが日本美容外科学会という名称でJSAPSとJSASという2つの団体があります。
前述の通り私自身は形成外科関連のJSAPSに所属しているわけですが、先日もう一つの美容外科学会JSASに初めて参加してきました。
というのもJSAS美容外科学会において「修正手術」というシンポジウムを企画することになり、会長から「二重まぶたの修正治療について講演してもらいたい」という依頼を受けて発表してきました。
開院後2年間の二重修正治療のデータや手術方法についてお話ししてきましたが、活発な議論や意見交換を行うことができて、とても有意義かつ、大変興味深い経験をさせていただきました。
お招きいただいた会長に感謝しております。
さて、久しぶりのブログ更新ですが今回は二重ラインの食い込みと、その食い込み修正手術についてご説明したいと思います。
というのも当院での二重修正相談の中で2番目に多い修正相談がこの「二重食い込み修正」だからです。
ちなみに1番多いご相談は幅が広すぎる二重に対する「二重幅狭修正」で3番目が「眠そうな二重の修正」、以下「二重幅を広げる修正」「二重左右差修正」「取れてしまった二重の修正」と続きます。
二重ラインの食い込み修正でご相談の患者様で共通したお悩みは
- 伏目や目を閉じた時でも二重の食い込みが強い
- まぶたを横から見ると「3」のような形になっている
- 整形したのがバレバレ
- 電車で席に座れない(上から見られるのが怖い)
- まぶたを見られるのが怖くて美容室に行けない
- まぶたを見られるのが怖くて歯医者に行けない
- 整形したのがバレるのが嫌なので友人や家族に会えない
などになります。
いずれも深刻なお悩みです。
どなたも「目を閉じた時に平らになる二重」への修正を希望されて相談に来られます。
私自身は「生まれつきの二重のような整形二重」を目指して手術を行っています。
当院で初回切開二重手術をお受けになった患者様については、二重ラインの食い込みに関して十分配慮した方法で二重手術を行っております。
もちろん二重ラインの食い込みについては多少個人差はありまずが、ひどく食い込んでしまうことはないと思います。
二重ラインの食い込みが強くなってしまうのにはいくつもの原因があります。
例えば
- 二重の作成方法(つまり皆さんがよく言われる「内部処理」や「中縫い」のやり方です。)
- 組織の切除
- 上眼瞼挙筋腱膜の処理や扱い方
- 通り一辺倒な二重手術
などが代表的です。
二重ラインの食い込み修正手術の場合は私が通常行っている初回切開二重手術の方法は行うことが出来ませんので別の方法で修正を行っています。
患者様ごとに食い込みの原因を分析して、それぞれに応じた修正方法を選択しています。
今回ご協力いただいた患者様も典型的な食い込みの特徴を示しており、整形がバレるのが怖くてご家族に会えないお悩みを抱えておられました。
結果、修正手術により症状が改善して穏やかな日常を取り戻すことが出来ました。
私が同じ悩みを抱えている患者様が多くいらっしゃることを伝えたところ、「そういう方々のためになるのであれば」としてご協力いただいたことにとても感謝しております。
ありがとうございました。
まぶたを閉じていても二重ラインの食い込みを認めます。
この型の場合は食い込み自体が著しく強いわけではありませんが、典型的な食い込みの所見を認めます。
下を向いたときにも同様に二重ラインの食い込みを認めます。
同時に二重ラインのすぐ下方(専門的には尾側と言います)が少し陥凹して、さらに下方のまつげの上の皮膚が膨らんだようになっています。
目を開けた状態です。
食い込みが強く、違和感のある目元です。
食い込み修正手術はお仕事の都合があり、左右別々に行いました。
まず初めに左目について手術を行いましたので手術前後の差を比較しやすく、とても参考になると思います。
左目のみ食い込み修正を行い、手術後2ヶ月の状態です。右目は修正前です。
左目は二重の下の皮膚がすっきりとなくなり、まつげ根元が見えるきれいな二重に改善しています。
目を閉じた時、まぶたの皮膚は自然に平らになっています。
術後2ヶ月なので傷跡はまだ目立っていますが、左右見比べると明らかに改善しているのがよく分かります。
下を向いた時の状態でも左目は二重ラインの食い込みがなく、良好な改善が得られています。
二重ラインの食い込みに関しては、まぶたを斜めから観察するととても分かりやすいので以下にお示しします。
右目:修正前、左目:修正後2ヶ月です。
目を閉じた状態でも右目は二重ラインが食い込み、左目は食い込みを認めません。
下を向いた状態でも明らかに左右では異なります。
右目はまぶたの断面が「3」のようになっていますね。
それに対して修正手術後の左目はフラットなまぶたに改善しています。
目を開けた状態の印象も変わります。
修正を行った左目はまつげが跳ねて生き生きとした綺麗な目元になっています。
それでは、左目の食い込み修正術前術後を比較してみましょう。
左目の食い込み修正手術前・手術後の比較です。
食い込み具合の違いと改善度は明らかです。
やはり、目を開けた時の印象も異なります。
最後に、両目の食い込み修正術前・術後の比較をお示しします。
手術前の状態からです。
以下、二重食い込み修正手術後の状態です。
二重ラインの食い込みの改善は明らかですね。
左目は手術後4ヶ月が経過していますが、右目が術後2ヶ月過ぎの状態ですのでまだ赤みが目立ちますが、術後1年ぐらいかけてほぼ目立たなくなるでしょう。
本来であれば
- 食い込みが少ない生まれつきのような二重
- まつげの上の皮膚がだぶつかない二重
- 傷跡がきれいな二重
に皆さんが成れれば最も喜ばしいことなのですが、そうでない現状があります。
二重ラインが食い込むことによる患者様のお悩みはとても深刻です。
時として、二重手術がうまくいっていないために人生が前に進んでいかなくなってしまうことさえあります。
今回のブログ記事で私が皆さんに伝えたいことは以下の2点です。
- 不幸にも二重ラインが強く食い込んでお悩みの患者様については、食い込み修正手術により改善が可能であるので諦めないでください。
そして
- これから初切開の二重手術を検討されている患者様については、どんな手術でも初回手術が最も大切です。二重手術を担当する医師と十分なコミュニケーションをとり、目標とする二重のイメージを共有することが大切です。
二重手術に限らずどんな手術も初回の手術が最も重要です。
2回目以降の修正手術は改善の可能性、傷跡の問題など、どんどん条件が悪くなります。
ただし、まぶたの状態にもよりますが、多くのお悩みは修正手術で改善することが可能な場合がほとんどです。
二重ラインの食い込み修正手術の場合は、間違った構造で作られている二重のメカニズムを、生まれつきの二重と同じようなメカニズムになるように修正することが必要であると考えています。
私自身はそれぞれのまぶたに応じた二重作成を心がけており、二重の引き込みは患者様ごと、左右のまぶたごと、希望する二重の形ごと、そして目頭側や目尻側などで強弱を調節して二重手術を行うことが大切だと感じています。