院長ブログ

「吊り上げ法」という魔法

二重の形態は患者様の好みによってそれぞれです。

しかし、目頭側が広い二重は一般的には不自然に見えて好まれないと思います。

幅狭修正 術前(開瞼)

目頭側の幅広二重は平行二重を希望した場合に起こりやすい所見で、当院にも修正希望の相談としては多い内容になります。

手術を担当した医師もこのような結果になるとは予想していなかったと思います。

ではなぜこのような結果になったのでしょうか?

シミュレーションやデザインが悪かったのでしょうか?

手術を担当した医師はおそらく、術前に入念にシミュレーションなどを行いながら切開位置を決めたのだと思います。

すべての症例ではありませんが、切開位置ではなく、二重の引き込み量が適切でないことが原因になっている場合が少なくないです。

幅狭修正 術前(下方視)

同時に左の三重(予定外線)も認めています。

この患者様は二重幅、特に内側(目頭側)の二重幅を狭くしたい、幅の狭い平行二重を希望され当院を受診されました。

最近では二重幅を狭くしたい時、二重ラインをまつ毛側に変更する方法(吊り上げ法)が多く行われている印象があります。

ここで「吊り上げ法」という手術についてご説明します。

実は、「吊り上げ法」という手術方法があるわけではなく、みんなが何となく見よう見まねで行なっているのが「吊り上げ法」という手術です。

ですから、「吊り上げ法」という手術はクリニックや医師ごとに内容が異なっている手術ということになります。共通しているのは二重ラインを糸で引っ張るということのみです。

当院が開院した10年ほど前(当時:池本形成外科・美容外科、現リビジョンクリニック)には、いわゆる「吊り上げ法」を行なっているクリニックは東京と名古屋に1院ずつぐらいしかなかったように記憶しています。

いまでは二重修正治療を行うクリニックも増え、そのほとんどで「吊り上げ法」という手術が行われているのが現状です。

この患者様もおそらく、多くのクリニックで「吊り上げ法」を推奨されるケースではないかと思います。

吊り上げ法を否定しているのではなく、適応を誤らなければとても良い手術方法です。

必要のない吊り上げ法後の不具合を診察する機会が増えている印象があります。

幅狭修正 デザイン

本症例は吊り上げ法ではなく余剰分の皮膚切除と引き込みの調節、三重の予防を行って幅を狭く修正しました。

ここで美容外科医も含めて、患者さんが勘違いしがちなのが、皮膚を切除すると二重幅が狭くなるという誤解です。

皮膚は切除しても二重幅は狭くなりません。

二重の引き込み調節を適切に行うことが重要で、引き込みを調節した結果としてダブつく皮膚を切除して二重の形態を調整すると考えてください。

二重幅は切開線だけで決まるわけではありません。

食い込みや引き込みの量、目の開き具合、眉毛の位置、蒙古ひだの影響などなど様々な要因で総合的に決まります。なので二重ラインだけ変えれば良いというわけではありません。

幅狭修正 手術直後(開瞼)

手術直後の所見です。

ちなみに本症例では目の開きの調節(眼瞼下垂手術、挙筋前転等)は行なっていません。

二重の引き込み量が適切になると自然に本来の目の開きに回復します。

幅狭修正 手術直後(下方視)

左眼の予定外線も消失しています。

幅狭修正 術後6か月 (開瞼)

術後半年の所見です。

メイクあり、カラコンありの写真で申し訳ありません。

改善度はお分かりいただけると思います。

幅狭修正 術後6か月(下方視)

二重幅を狭くする手術(幅狭修正)はシミュレーションができないだけに吊り上げ法適応の判断は難しいですね。

そのうち当院で行なっている吊り上げ法についても解説したいと思います。

施行手術:二重修正手術(幅狭修正)

リスク:左右差、閉瞼障害、過開瞼、低開瞼、予定外線、食い込み、緩み、血腫、感染、その他

手術費用:52万円+税