院長ブログ

外科医が凶器!幅広平行二重から幅狭末広二重修正手術 〜蒙古襞が無い場合〜

みなさんこんにちは

本日は私、池本繁弘が都内の関連病院でフェイスリフトの出張手術を行うため、池本形成外科・美容外科は臨時休診をいただいております。

今回のフェイスリフト手術は私の知人である患者様から術者を依頼されたため関連病院をお借りしての出張手術になりました。

このたびのフェイスリフト手術の計画は、通常のフェイスリフトに比べてかなりアグレッシブな内容になります。

1. 拡大SMAS切除

2. リテイニングリガメントの処理

3. 脂肪吸引

4. 糸(スレッド)による牽引(リフト)

そこで、全身麻酔、安全な術後管理、入院設備のある都内関連病院で行うことになりました。

実は私、二重手術や二重修正手術のイメージが強いと思いますが、フェイスリフトも得意な手術の一つなのです。

全身麻酔の準備ができるまでの時間を利用してブログ記事を書いています。

さて、本題の本ブログの症例紹介ですが、今回ご紹介する患者様の目元・二重は非常に可哀想な状態になっていました。

私はこういう手術をする美容外科医はまさに凶器だと言わざるを得ません。

理想の二重になるために手術を受けたはずですが、思わぬ結果と成りました。

今回の患者様は手術前に複数回カウンセリングにお見えになりましたが、その度に辛くて、悲しくて涙しておられました。

一刻も早く辛い状況から抜け出させてあげたかったのですが、当院の手術予定が大変混み合っているために二重修正手術まで3ヶ月以上お待たせすることになりご苦労をお掛けしてしまいました。

目頭切開・切開二重手術後の結果が思うようにならずに、同様のお悩みを抱えている方々のためになればという思いで症例紹介にご協力いただきました。

本当にありがとうございます。

患者様のお悩みは以下のごとくでした。

1. 二重幅が広すぎる

2. 目頭側の二重幅が広く、目尻側が狭い。

3. 「へ」の字の二重

4. 目頭切開で広がりすぎた

5. 蒙古襞がなくなった

6. 目を開けた時のつっぱり感

などです。

切開二重修正手術前開瞼

手術前の目頭・二重の状態です。

まず目頭切開ですが、蒙古襞がなくなるほど切開されており、左右左も認めます。

日本人を含む東洋人の特徴として蒙古襞が発達しており、改善手術として目頭切開はよく行われる手術方法です。

しかし、目頭を広げるにしても蒙古襞を残した状態で広げることを心がけないとこのような不自然な結果を招くことになります。

そして切開二重ですが、目頭側の二重幅が広すぎて食い込みがとても強い状態です。

目頭側の二重幅が広く、目尻側の二重幅が狭い二重形態は非常に不自然な印象の二重ラインになります。

眼瞼下垂手術を受けたはずが、目に開きがとても悪く、目元はキツイ印象を受けます。

切開二重修正手術前閉瞼

手術前の目を閉じた状態です。

おそらく眼瞼下垂手術(上眼瞼挙筋前転術)が行われていると思うのですが、目頭側を中心に目が閉じきらない症状(閉瞼障害、閉瞼不全)を認めます。

目を閉じた時のまぶたの縁の形態が不自然な曲線になっています。

不適切な眼瞼下垂手術で認められる症状です。

一つ前の写真でもわかる通り、その結果として目の開き具合はとても良いとは言えない状態です。

切開二重修正手術前上方視

上を向いてもらうと眼球に沿って二重ラインの皮膚が食い込み、目を開くのが辛そうな印象です。

切開二重修正前下方視

二重切開部の部分的な食い込みが目立つ傷跡になっています。

修正のご希望は大まかに言うと

1. 幅を狭くする

2. 末広二重にする

3. 目を開きやすくする

4. 二重の食い込みを浅くする

などでした。

末広二重にするには

目頭側の二重幅が広すぎること

蒙古襞が無いこと

が大変難しい課題でしたので、それらを改善するために

蒙古襞形成 + 脂肪移植による二重修正手術

を計画しました。

切開二重修正手術デザイン

前医での目頭切開はZ形成術で行われていたため(皮膚切除については不明)、蒙古襞形成は逆Z形成術を行いました。

二重修正は目頭側の二重ラインを末広二重になるように変更するとともに、目尻側は二重下部分の皮膚を少量切除することで、二重ラインの修正を行いました。

逆Z目頭形成+脂肪移植

まず逆Z形成術を行い、蒙古襞の形成を行います。

続いて二重修正手術を行います。

1. 前医による二重ラインの十分な剥離

2. 目の開き具合(開瞼)の調節

3. 再癒着予防のための脂肪移植

(写真の黄色の組織が移植する脂肪ですが、トリミングしながら移植量を調節します。)

4. 新たな二重形成

を丁寧に行います。

切開二重修正手術術中閉瞼

逆Z形成術による蒙古襞形成

脂肪移植による二重幅狭修正

挙筋調節・開瞼調節

による手術直後の閉瞼の状態です。

開瞼の調節をうことによりまぶたの縁の不自然な形態が改善しています。

しかし、手術前より認める左目の閉瞼障害は残存しています。

以前のブログ記事でご紹介しましたが、目の開きすぎ(過開瞼)や目が閉じない症状(閉瞼障害)の改善はとても難しいケースが多いです。

切開二重修正手術直後開瞼

手術直後の開瞼の状態です。

蒙古襞が再建され、綺麗な末広二重に改善しました。

目の開きも改善して、症状の一つであった目を開けた時のつっぱり感も手術時から改善しました。

手術直後はある程度の左右左を認めていますが、出血や腫れの影響によるものと思われます。

切開二重修正手術後2日目開瞼

切開二重修正手術翌々日(術後2日目)の状態です。

一般的に手術後48時間程度が腫れのピークになります。

左目に強めの内出血を認めますが、腫れのピークでも大体この程度のことが多いです。

手術後の社会復帰をなるべく早くするように、手術後の腫れについては細心の注意を払って手術を行っております。

切開二重修正手術後6日目開瞼

切開二重修正手術後6日目の状態です。

手術後の腫れは減少しています。

目の開き(開瞼)も良好で、目頭形成・蒙古襞の形態も良好です。

二重ラインは自然な末広二重に修正されています。

左目の内出血がやや広めに下まぶたまで広がってしまい、内出血の改善にはもう少し時間を要します。

切開二重修正手術後6日目閉瞼

手術後6日目で抜糸を行いました。

閉瞼時の写真です。

著しい閉瞼障害の悪化は認めませんが、二重修正手術前より認めている左目の閉瞼障害は残存しています。

今後も注意深い経過観察が必要です。

切開二重修正手術後6日目上方視

目を開けた時のツッパリ感もなくなり、上を向きやすくなりました。

手術後6日目ということもあり、二重の食い込みはまだそこそこ強く認めていますが、手術前の著しい食い込みからはずいぶん改善しています。

食い込みについては時間とともにどんどん改善していきますが、再癒着による食い込みの再発や二重引き込みの緩みすぎについては今後も十分な経過観察が必要です。

切開二重修正手術後6日目下方視

目頭側を中心に移植した脂肪の膨らみがわかりますが、それほど凸凹にはなりません。

移植した脂肪も手術後に腫れますので、移植脂肪による膨らみは今後も改善して、どんどん目立たなくなっていくことになります。

以上、幅広平行二重から幅狭末広二重修正手術 〜蒙古襞が無い場合〜の手術から抜糸までの経過になります。

現時点で手術後3ヶ月が経過しており、良好な結果が得られておりますので、後日中期・長期経過についてこのブログにて紹介する予定です。

さて、そろそろ全身麻酔の準備が整いました、只今から集中してフェイスリフト手術に臨みます。

手術費用:脂肪移植による切開二重修正 56万円(税別)

蒙古襞形成 28万円(税別)

リスク:瘢痕、移植脂肪の感染・凹凸、開瞼の左右差、過開瞼の残存、閉瞼障害による角膜障害、二重幅の左右差、二重幅等が希望と異なるなどのリスクがあります。